指輪・リングの起源と歴史 3,000年前頃に指輪は存在していた!結婚指輪はローマが発祥地!

現在では結婚式での指輪交換は当たり前のことになっていますが、そこには古代ローマ時代からの伝説が生きています。指輪交換には「誓い」や「戒め」の意味もあり、それが形を変えて現在にまで伝わっているというのは神秘的ですらあります。指輪の発祥・歴史について考えてみました。

1.指輪とは?

いうまでもありませんが、円形で指にはめる装飾品のことを「指輪」といいます。男性でも女性でも身にけることができるアクセサリーです。

材質は現在では貴金属が多いですが、かつては、素材に鉄、真鍮、青銅などの金属や、メノウやヒスイなどの石、べっ甲、象牙なども使用していました。

ひすいやメノウなどは、くり抜いて加工していました。しかし、今では、こうしたものは市場では余り見受けられません。現在よく利用されている金属は金やブラチナなどの貴金属で、カジュアルなものでは銀なども使われます。他に、プラスチック、木、ガラス、宝石、最近では、アレルギー反応を起こさないという視点から、チタン指輪も人気です。

指輪の意味ははめる指はよって違ってきます。結婚指輪は薬指にはめ、結婚指輪以外の指輪は通常は中指にはめます。婚約指輪は婚約する際に男性から女性に贈る指輪で、こちらも結婚の証として男女で交換します。日本では左手の薬指が一般的ですが、国によっては右手の薬指にはめることもあります。

2. 指輪の歴史

2010年にイスラエルで発掘された金や銀を使った宝飾品は3,000年前頃のものと鑑定されましたが、そこには指輪もありました。3000年前にすでに指輪が装飾品として存在したことになります。

また、「親指に指輪をはめる風習」が古代ローマ時代にあったとそうです。弓を引くときに親指を保護するために用いられていたといわれています。この親指にはめる指輪は「サムリング」と呼ばれていますが、「サム」の意味は英語で「親指」のこと。「親指に指輪をはめると、願いが叶う」という意味もあったとか…。

3.結婚指輪

指輪といえば、結婚指輪や婚約指輪を思い浮かべるひとも多いですよね。

一説によると、花嫁が逃げないように紐でつないでいた名残だと言われています。

ケルト人の間では結婚相手の髪で編んだ指輪を作り、女性にはめさせた文化があったとか…。

こう考えると、やはり結婚指輪には「束縛」の意味がありそうですね。

♦ローマ時代の指輪は最初は鉄だった!

ローマは結婚指輪の発祥地ともいわれていますが、その結婚指輪は鉄でできていたと言われています。

これはギリシャ神話の伝説からきています。プロメテウスというのは天界の火を盗んだということで、ゼウスからその罰として岩山に鎖ではりつけの刑を受けることになりましたが、後にヘラクレスがプロメテウスを助け解放したという伝説です。しかし、この「岩山に鎖ではりつける」という誓いが生きていたため、岩山の石の破片と鎖の鉄で指輪を作り「ゼウスへの服従の誓い」としました。

この伝説に従って、結婚指輪は女性が男性に対して忠誠を誓う証としてはめられました。薬指にはめるようになった理由については、ローマ時代では「薬指は心臓とつながっている」という伝説が信じられていたからです。体の中で一番重要な場所に、誓いの意味が込められていた指輪をはめることで、その誓いを現実化させようとしたのでした。

この時代は結婚指輪をはめられたのは女性でしたが、当時の力関係では男性の力が優位だったからでしょう。

♦結婚指輪を交換するようになった由来は?

結婚指輪を男女で交換するようになったのは9世紀になってからでした。それは、ローマ教皇であるニコラウス1世の結婚から始まります。

ニコラウス1世が結婚した時、花嫁に金の指輪、花婿に鉄の指輪を交換したと伝えられています。これが結婚指輪交換の始まりで、この後、この結婚指輪の交換の意味と意義は広まり、13世紀には現代のように男女双方で結婚指輪を交換することが一般的となってきました。

もともと指輪には宝石は付いていなかったのですが、中世に裕福な人たちの間で宝石のついた指輪が贈られるようになりました。

15世紀になるとダイヤモンドが指輪に取り付けられるようになりました。当初は、まだ研磨技術が発達しておらず天然の形のままにあしらわれていたそうですが、結婚における指輪交換が一般的になってくると、それに比例してダイヤのカッティング技術も向上したと言われています。

4.日本での指輪

日本では指輪は縄文時代には出土はありませんでした。弥生時代・古墳時代に全国の遺跡から出土したものの、出土した指輪は大陸の品だとする説と、木などの有機質の指輪は出土されなくとも使用されていた可能性はあったという説がありますが考古学上からも定説はない状態です。

そして、それ以降は、装身具凍結時代となり全く出土することはなくなって、次に指輪の名前が現われるのは、16世紀安土桃山時代になってからのことです。

♦指輪を着けた支倉常長の肖像画!

南蛮貿易によってもたらされたエキゾチックな装身具は、キリシタン大名やその周辺の人々を魅了しました。

また、江戸時代初期の慶長年間に伊達政宗がヨーロッパへ送った支倉常長(はせくら つねなが)がイタリアで描かれたという肖像画には、指輪を着けた油絵が残されています。

しかし、支倉常長帰国後にはすでに禁教令が出されており、他の装身具類同様、指輪や一般的には普及しませんでした。さらに、鎖国令によって異国からやってきた指輪への関心も途絶えてしまいました。

♦結婚指輪も装飾品も戦後に入って本格化!

西洋では指輪は男性にとってもなじみあるものでしたが、日本の男性には宝飾品を身につける文化がなく、そのため指輪の普及や定着にはさらに時間が必要でした。

結婚式様式も考え方も異なっていたため、結婚指輪という概念すら定着しなかったのです。結婚指輪の定着は戦後、人々が西洋の文化に触れる機会が増えてからになります。

戦後、生活様式も西洋化していくにつれて結婚指輪交換の習慣も少しづつ受け入れられていきました。昭和40年代に入ると、教会での挙式は若い女性の憧れともなり一気に結婚指輪文化は広がっていきました。

まとめ

3,000年前頃に、既に金・銀で作られたという伝統を持つ指輪!また、古代ローマから発祥したといわれる結婚指輪も、長い歴史の中で少しずつ形を変え結婚のセレモニーとなっていきました。

指輪には、ギリシャ神話から発祥した「拘束」や「誓い」の意味も若干残っている感もありますが、それでもその悠久の時間の重みには圧倒されますね。たかが指輪、されど指輪。あなたが身につけている指輪から、古代ローマからの伝説が現在にまで息づいていると思うとロマンも広がりますね。

2016年11月18日 指輪・リングの起源と歴史 3,000年前頃に指輪は存在していた!結婚指輪はローマが発祥地! はコメントを受け付けていません アクセサリーの歴史