ラペルピンは最近ではカジュアルショップでも見かけるようになり、メンズアクセサリーでも人気です。デザインによってラフに使えるし、結婚式や二次会などに使っても華やかな雰囲気を出すこともできるでしょう。使い道もアイディア次第のラペルピンですが、もうひとつ使い方が分からないという声もあります。そこで、ラペルピンの由来や歴史をたどってみました。
1.ラぺルピンとは何?
スーツの衿には下えりに穴が開いていますが、ここに会社の社章をつけたりする人も多いでしょう。議員バッジとして政治家も活用していますよね。この下えりのことをラぺルといい、そこに付けるピンを総称して「ラぺルピン」といいます。その形態としてはピンス、ハットピン、ピンブローチなども同類のものです。
「ピンズ」は後ろの部分に短い針が出ているものです。社章などが多いですが、装飾用でもラフな抽象的なデザインの「ピンス」もあります。
ハットピンはハットが落ちないように止めるためのピンですが、デザインだけが違うだけで、ほとんどラペルピンと変わりません。
ピンブローチというのは巻きスカートなどを留めたり、そのままブローチとしてセーターやシャツなどに付けることができ、こちらも構造的には違いはなくデザインだけが変わっているだけなので、後は合うか合わないかで決めていただければいいでしょう。
「ラペルピン」として一般的なのは長い針があり、留め金の部分も飾りの一部として使われるものです。チェーンなどが付いているラベルピンもあります。
2.ラペルピンの種類は?
ラペルピンの種類を大きく分けると、ピンズ、バーがついているもの、チェーンなどがついているものに分けられます。市販されているものを見ても、彫金だけのものとか石やガラスを埋め込んだものとかいろいろです。また、布やファブリック系のもの、珍しいものとして組みひものラペルピンなどもあります。
礼装用としては真珠。夜の場合は黒蝶貝やオニキスなどを使ったラペルピンもあります。
3.ラペルピンの歴史
ラペルピンの由来は諸説あるようですが、一説には古代エジプト時代に誕生したといわれています。
敵味方から自分の一族などを識別するために、紋章などを衣服につけて敵味方が分かるようにしたという説が残っています。紋章をつけるというのは、それ以降の歴史のなかでもさまざまな方法で行われてきました。
スーツの穴にラペルピンをつけるというのは、スーツの歴史との関わりにも触れなければならないでしょう。
♦フラワーホールは第一ボタンホールの名残り!
そもそもラぺルというのは背広の下エリのことをいいますが、なぜそこにホールがあるのかという事も不可解でしょう。
実はこの穴のある下えりのシングルジャケットは、もともと軍服のような詰えりだったといわれています。つまり、このホールはボタンホールの名残りであるというのです。
本来ならば、その下の2番目、3番目のボタンホールもあるはずだったのですが、その2つは詰えりが現在の開キンシャツえりのように折り返された時点で不要になり消失しました。下えりラペルの第一ボタンホールだけが残ったという説です。
♦第一ボタンホールが「フラワーホール」とも呼ばれるようになった由来は?
たまたまある国の王族がこのホールに花を挿し、そのアイディアが支持されていて、現在でも結婚式の時には、花嫁に求婚したブーケから花を選び、花嫁にさしてもらうという儀式が継承されています。
このように昔は詰えりの第一ボタンであるボタン穴は、後に花飾りを挿す用途に使われたことから、この第一ボタンのホールは「フラワーホール」とも呼ばれるようになったといわれています。
さらに、オーダーメイドのスーツには、ラペルピンのホールの裏側には花の茎をとめるループやポケットがあるものも見られます。
♦ラペルピンのバーは茎をささえる機能があった!
こうしてフラワーホールは、花を挿すかわりに社章を挿したり、花を模してつくられたアクセサリーであるラペルピンを挿したりするために活用されています。
ラペルピンの長いバーは見せるためのものではなく、茎をささえる存在として花の向きを保つ機能を持っていたとも言われます。確かにそうすれば、花はクルクル回らないで安定できます。そういう意味から考えても、ピンブローチ形式のラペルピンは、機能的にも優れていると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。ジャケットの下えりについているホールは、もともとは詰エリだった頃の名残りでした。
それは「フラワーホール」とも呼ばれ、結婚式にはそこにブーケの花束から選んだ花をさす風習があり、ラペルピンは「フラワーホール」を利用して花の代わりにつけます。
ピンだけのもの、長い足がついているもの、チェーンなどがついているものどいろいろなタイプがありますから、あなたの個性で活用してみてくださいね。